三十路ジャンボリー〜ドミニカ共和国より愛を込めて〜

ドミニカ共和国で生きる30歳のJumboが気ままにライフスタイルを情報発信していきます!

ドミニカ共和国の農作物流通事情と「Qué chévere」

ご無沙汰しております。

Jumboです。

最近は、日に焼けて普通のドミニカ人と同じ感じなってきました。

 

突然ですが、皆さんが普段食べている農産物の価格決定は、どのようにされているかご存知ですか??

 

今回は、ドミニカ共和国の農産物が消費者の口に運ばれるまでの流れを追ってみます。

f:id:show-dec:20180223061804j:plain

【目次】 

 

1.ドミニカ農業の特徴

ドミニカの面積は日本の8分の1程。日本の九州と高知県を合わせたくらいです。

このトロピカルな国は気候条件(熱帯雨林、サバンナ、高地)に恵まれる為、多種多様な農作物を栽培しています。

代表的なモノと言えば、バナナ(ドミニカではプラタノ、ギネオ等と呼ぶ)、マンゴー、アボカド、コーヒー、カカオ、タバコ・・・・等です。

熱帯雨林の中で、マチェーテと呼ばれる山刀を用いて山を分け入り、バナナなどを自然栽培しています。

ちなみに、ドミニカ人は米も大好きで、シバオという地区では二毛作で米を栽培しています。

 

輸出作物として伸長しているのが、コーヒー、カカオ、マンゴーなど。

 

しかし、農作物を輸出して成功している経営者は、大規模農場を経営する一握り。

ほとんどが小規模もしくは家族で農業を営み、ドミニカ国内市場へ流通させ、やっとのことで生活しています。

 

2.ドミニカの農家の販売価格

そんな、農家が販売する農産物の価格ってやっぱり安いの?

まずは、私がお世話になっている地域の農民を対象にした調査結果です。

下のグラフを参照ください。

f:id:show-dec:20180223054053p:plain

 

これは、ドミニカ人が大好きな、Guineo(ギネオ)の農家毎の年間生産量(個)と販売価格(ペソ/個)を表しています。(2018年1月調べ)

棒グラフが生産量、線グラフが販売価格になります。

 

農家によって生産量も価格も異なっていますが、この地域の農民は平均すると$1.8/個(約4円/個)で販売しています。

 

これを、市場やスーパーマーケットで消費者が購入するといくらになるでしょう?

 

市場A(Villa Altagracia):$2.50/個(2018年2月8日調べ)

市場B(Santo Domingo):$3.33/個(2018年2月15日調べ)

市場C(Santo Domingo):$2.80/個(2018年2月22日調べ)

※全て聞き取り対象10以上の平均販売価格。

 

これが、店舗型のスーパーマーケットになるとまた高くなります。

今回はスーパーマーケットは省きます。

 

農家が販売した価格から約1.6倍で消費者へ販売される。

しかも、これは1個当たりである。

 

と言うことは、1房(10個)と仮定すると

農家販売:1.8×10=18ペソ

市場販売:2.9×10=29ペソ

 

さらには、10房(100個)になると

農家販売:1.8×100=180ペソ

市場販売:2.9×100=290ペソ

 

ギネオはかなり消費される農作物ですので、一日の販売量もものすごいことになります。数が多くなればなるほど、だれかが儲かるわけです。

 

 そして、言わずもがな農家の取り分は労働の割にはめちゃくちゃ少ないのです。

 

3.農作物の価格決定と仲介業者との力関係

需要と供給のバランスで価格が変動する農作物において、計画的に利益を見込むというのは、小規模・家族営農では非常に厳しいこと。

且つ、その販売価格を左右する要素の一つとして「仲介業者」の存在が大きく関わってきます。

 

f:id:show-dec:20180223223742p:plain

上のグラフはアボカドの販売価格を視覚的に見やすくしたものになります。

農家の平均販売価格:4.8ペソ/個(約11円)に対して、市場A,B,C、さらには路上で販売されている価格を見ればその差は火を見るよりも明らかですよね。

 

なぜこんなことが起こるのでしょうか?

 

一般的に、農作物の取引は、ほぼ相対的であり、農家がネゴシエーションする余地などありません。つまりは、農家に価格決定権はないということです。

(基本的に、日本でも、他の国でも競争力の無い農作物は同様です。)

 

農家は、仲介業者の言い値で販売せざるを得ません。

また、日本の様な地域毎の農業協同組合などはほぼ存在せず、組織で対抗していくような土壌がドミニカにはありません。

 

また、市場を巡って分かったことですが、基本的に産地表示など存在しません。

日本では、当たり前のように、「産地、品種、生産者」などの情報が表示されており、品質の良い、人気の品種・産地の農作物はセリでも高く取引され、店頭でも他の安価なモノと比べて価格は高くなっています。

 

つまりは、農作物という消費財はこのトロピカルな国ではどこで取れても一緒。

差別化する余地などない。

もっと言うと、気にしてない。気にされてない。

ということではないかと考えました。

※一部の作物では、差別化しているものもあります。また、米はスーパーで自社ブランドを立ち上げて差別化しているものもあります。

 

それでは、仲介業者の力が強くなるのも当然ですよね。

価格を決めているのは、農家でも消費者でもなく、仲介業者なのです。

 

4.ドミニカ農業の可能性

一般的な、VIVERESと呼ばれる主食類(バナナ、芋類)は、ほとんどが自然栽培の為、差別化することは難しいでしょう。

また、フルーツ類も自然栽培に近く同様です。

 

ここからは、あくまでも私個人の意見ですが、

ドミニカでビジネスとして儲かる農業をする為には、

対外国への輸出品目を大規模に栽培するのはもちろんの事、

対国内では、ドミニカの人口の約10%しかいない裕福層へアプローチできる高品質の有機野菜や、パッケージ農業(定期便での小品目の野菜や果物の販売)へシフトしていくことで可能性が拡がるのではないでしょうか。

 

小規模で家族で営んでいる農家が、どうやってその手段やチャンスを掴むんだ。

厳しいだろう・・・と思われるでしょう。

私自身もそう思います。

 

しかし、

大勢がやっていることを同じようにやっていては、差別化できません。

だれもやっていないことにチャンスを見出して先駆者となるしかありません。

農家自身の「熱」ももちろん必要です。

それをサポートするのが政府であり、NGOであり、援助系の国際機関なのではないでしょうか。

 

最近では、

大学や農水省的な政府機関が主催となって、アグリビジネスやアグテックのセミナーなんかも開催され、「農業×ビジネス」「農業×テクノロジー」がこの国でも注目されています。意欲のある個人農家もこのセミナーに参加していたりします。

 

そして、

ドミニカ人、だいたい携帯持っています。携帯大好きです。

そして、都市部ではそこらじゅうでWI-FIが飛んでいます。

デスクトップ型のPCが家に無くても、今のスマホは十分なんでもできちゃいます。

ネットを活用すれば、直接販売だってできます。

 

他よりも差別化できる品目を、ターゲットを決めて言い値で売る。

これが実現できたら、言うことなしです。

ドミニカの気候や農業条件を考えれば、可能性は十分にあると思います。

 

5.まとめ

・ドミニカは気候に恵まれる為、ほっておいても自然栽培できる。

・農家は売値を決められず、仲介業者が決める。

・品目によってその差は様々である。(その他、約20品目のデータ有り)

・一般的な農作物は産地表示が無く、差別化されていない。

・ドミニカ農業にもテクノロジーの流れは来ているが、ほとんど現場で実現されていない。

・可能性はめちゃくちゃある。

 

 最後に!!

今日のラテンなスペイン語

Chévere:形容詞的に使用し、「すごい、かっこいい」などの意。

「Qué chévere!!」なんて言われたら、めちゃくちゃうれしい。

先日、タクシーの運転手と話していて、

運転手:「ナニジン?」

自分:「日本人だよ」

運転手:「Waaaaaooooo!! Qué chévere!! quiero ir a allÍ」

ってなりました。

 

要は、「うおおおおおーーーーー!!めっちゃクールじゃん!!日本行きたい」

「Qué chulo」も同じように使うが、「Qué chévere!!」のほうがよりかっこいい、クールだねって感じです。

 

下のリンクは、ドミニカで流行っているdembowです。

この歌の中で「Qué chévere」が出てきます。

youtu.be

 

 

アスルエ!!